この記事はAWSシニアエバンジェリスト Jeff Barが綴るAmazon Web Services Blogの記事、Create a Virtual Tape Library Using the AWS Storage Gatewayを安田俊彦 (Facebook)が翻訳したものです。
AWS Storage Gateway (ストレージゲートウェイ) はオンプレミスのソフトウェアアプライアンスによってお客様のIT環境とAWSクラウドストレージのインフラストラクチャを統合します。
ストレージゲートウェイをインストール、設定すると、それぞれのゲートウェイが、一つ、もしくはそれ以上のiSCSIのストレージボリュームとして動作します。それぞれのボリュームをゲートウェイキャッシュ型(プライマリデータを Amazon S3 に保管し、キャッシュデータをローカルに保持)、もしくはゲートウェイ保管型(プライマリデータをローカルに保管し、バックアップを非同期に Amazon S3 に保持)として設定することができます。
テープを巻き取れ
本日よりストレージゲートウェイはさらに機能が増えます。お客様は、ストレージゲートウェイを仮想テープライブラリ(VTL)として設定出来るようになります。1ゲートウェイあたり、10の仮想テープドライブを設定することが出来ます。それぞれの仮想テープドライブがSCSIのコマンドセットに応答します。そのため、ユーザーの皆様は、D2T(Disk-to-Tape)、D2D2T(Disk-to-Disk-to-Tape)に関わらず、現在使用されているオンプレミスのバックアップアプリケーションに変更を加える事なく、そのままストレージゲートウェイの新機能をご利用いただけます。
仮想テープライブラリ内の仮想テープは、99.999999999% の耐久性を持つAmazon S3内に格納されます。1ゲートウェイあたり、最大1,500の仮想テープもしくは最大150TBのストレージを管理することが出来ます。
仮想テープライブラリ内の仮想テープは、数秒という単位でテープドライブとしてマウントされアクセス可能となります。
長期間のアーカイブ保管のために、仮想テープライブラリは仮想テープ保管庫(Virtual Tape Shelf, VTS)と統合されています。仮想テープ保管庫上の仮想テープはAmazon Glacier (グレイシャー) 上に保管されます。Amazon Glacier上に保管されることで、S3と同等の耐久性を持ちながらもより低コストに保管することが出来ます。なお、取出し時間は24時間程度かかります。お客様は、バックアップアプリケーションを用いて仮想テープライブラリから仮想テープをイジェクトするだけで、テープを仮想テープ保管庫に移すことが出来ます。
仮想テープは、セキュア、かつ確実に保管されます。Amazon S3 とAmazon Glacierはそれぞれ複数の施設を利用しており、同時に2箇所の施設での同時障害においてもデータを喪失しないように設計されています。ゲートウェイとAWSクラウド間のデータの転送は、SSLで暗号化されています。S3およびGlacierに格納されたデータは256-bitAESで暗号化されています。
テープ、テープドライバにさようなら
上記の説明からおわかりいただけると思いますが、ストレージゲートウェイを仮想テープライブラリとして設定すると、既存の物理テープ環境を置き換えることが出来ます。お客様は、テープの用意、保守、またはテープドライブやテープロボットの更新を気にしていただく必要が無くなります。長期間にわたるマイグレーションを数年おきに繰り返す必要も無くなります。古いテープの整合性チェックのため、テープのマウント、スキャンを繰り返す必要も無くなります。そして、オフサイトでの保管や、データ取出し等に煩わされる事も無くなります!
まとめますと、お客様は、仮想テープライブラリに移行することで、多くの機械的な可動部分から成り立つ厄介な装置を扱うことに伴う諸々の悩みから、解放されます。また、資本支出からも解放されます。お客様は、「保有したモノ」に対してではなく、「実際に使った量」に対してお支払いいただくようになります。
テープのように見えますが、クラウドの醍醐味を味わえます
以下が仮想テープライブラリ型のストレージゲートウェイをご理解いただくための概念図となります。お客様のバックアップアプリケーションからは、実際の磁気テープに書き込んでいるように見えます。しかし実際には、アプリケーションはストレージゲートウェイに書き込みを行っており、データはAWS クラウドにアップロードされています:

始め方
ゲートウェイは、VMwareもしくはHyper-Vホスト上で動作する仮想マシンイメージとして提供されます。ストレージゲートウェイユーザーガイド(英文)にて、イメージのインストール、ローカルストレージの設定、そしてAWS Management Consoleからのゲートウェイの起動までのプロセスをご覧いただくことが出来ます。

起動のプロセスの一環として、お客様には、ゲートウェイがどのようなメディアチェンジャーおよびテープドライブとして認識されるか、をご選択いただきます。

お客様は、バックアップのために、仮想テープドライブを配置していただく必要があります。配置方法は、お使いのOS、バックアップツールによって異なります。スクリーンショットは、バックアップを取得するシステム上でMicrosoft iSCSIイニシエータをご利用される場合の画面例となります。

そして、仮想テープを作成頂きます。

バックアップ、およびテープ管理
テープドライブを配置していただき、お使いのバックアップアプリケーションから配置したテープドライブを呼び出すことで、オフサイトへのバックアッププロセスを起動することが出来ます。お客様は、AWS Management Consoleから仮想テープをご覧いただくことが出来ます。

ご覧いただくとわかるように、AWS Management Consoleは、お使いになっている全ての仮想テープを確認、管理するための画面を提供します。この画面において、仮想テープが仮想テープライブラリ上にあり直ちにアクセス可能なのか、もしくは仮想テープ保管庫にありアクセス可能になるまで24時間かかるのか、を問わずに一元的に仮想テープを管理できます。
クラウド上のゲートウェイ
ストレージゲートウェイは、Amazon EC2のAMIとしても提供されており、お客様は、AWS Marketplaceからゲートウェイを起動することもできます。EC2上で起動することで、複数のユースケースへの適用が可能です:
もし、オンプレミスでお使いのアプリケーションをクラウドに移行した場合、もしくはこれから移行する場合、クラウド上のゲートウェイをご利用いただくことで、お客様は既存のバックアップ運用をクラウド移行後も維持し、使い慣れたツールを使い続けることが出来ます。
クラウド上のゲートウェイはディザスターリカバリ用に使う事も出来ます。ゲートウェイとEC2インスタンスを起動し、データをクラウド上にリストアすることが出来ます。どのようにしてAWS上でこのユースケースを実現するかご興味のある方は、ディザスターリカバリに関する弊社のウェブサイトをご覧ください。
ディザスターリカバリにご利用いただく場合、お客様はクラウド上のゲートウェイをリカバリできるかテスト運用するためにお使いいただく事も出来ます。バックアップデータの中に望ましいデータが含まれているか確認することが出来ますし、データのリストア、データベースへの格納の手順を確認し、そしてテスト用のデータベースにデータをロードすることも出来ます。
終わりに
ストレージゲートウェイは、複数のAWSのリージョンで利用可能であり、お客様は本日からお使いいただく事が出来ます。以下が、料金体系となります。
- 起動されたゲートウェイごとに月額$125の利用料を頂戴いたします。ただし、最初の60日間は無料となります。
- データのアップロード転送は無料となります
- Amazon S3上の仮想テープの単価は、1GBあたり月額$.0.095(10円以下)となります。お使いいただいた量に対する従量課金となり、所謂「空テープ」への課金は発生致しません。
- Amazon Glacier に格納された仮想テープの単価は、1GBあたり月額$0.01(約1円)となります。お使いいただいた量に対する従量課金となります。
- 仮想テープ保管庫からのデータ取出しにあたっては、1GBあたり$0.3の取出し費用を頂戴いたします。また仮想テープ保管庫から、格納後90日以内のテープを取り出す場合、1GBあたり$0.03を日割り計算した費用を頂戴いたします。
上記の価格は、米国東部(北バージニア)リージョンの価格となります。他のリージョンでの価格については、ストレージゲートウェイの価格ウェブサイトをご覧ください。
-- Jeff;
この記事はAWSシニアエバンジェリスト Jeff Barが綴るAmazon Web Services Blogの記事、Create a Virtual Tape Library Using the AWS Storage Gatewayを安田俊彦 (Facebook)が翻訳したものです。